<その9>
出会いのものがたり

いゃー、目頭がうるうるしてしまいました。

青山コーヒーで、そんなに大変なことが起こっていたのですね。(女の人だったらボウコー炎になってますよ、スミマセン、気遣いがなくて・・・。わたしの押し切りに巻き込まれた皆様、いつもご迷惑をおかけしている皆さま、この場を借りてお詫びします。礼)

わたしの住まいは鎌倉にあり、一軒家のプライベートギャラリーとして、一年間にスケジュールを決めた展覧会期間中のみ開いています。うつわ祥見と申します。
とても我儘な方法で、運営しているのですが、それでも、全国各地から足を運んでくださる方がいらして、本当に有難く思っています。

器を伝える仕事をしていて、こころに決めていることは、わたし自身がこころに響いた器を信じて伝えたい、という一言に尽きます。

萬理さんとの出会いはうつわ祥見をオープンさせた6年ほど前に遡ります。萬理さんといえば刷毛目や鉄彩などの渋いやきものの作り手として雑誌などでも紹介されていましたが、その萬理さんが華やかな色絵の作品を発表したことにまわりは驚いたものでした。ある陶芸家の工房で、色絵の作品展のDMを初めて見せていただいたとき「彼はこういう器を作りたいんだって」と聞いて、わたしも正直驚きました。

けれど、実際の色絵の作品を東京のギャラリーの個展で初めて拝見したとき、「あ、わたしはこの人の筆や色使いが好きだ」と、直感で思ったのです。

その時購入したのは、赤絵の花の描かれたフリーカップです。小学生だった娘もすぐにその器を気に入り、「ばんりサンのコップで飲みたい」とその器で、毎朝、牛乳を嬉しそうに飲むようになりました。その器を通じて、わたしは萬理さんと「出会った」のだと思います。大げさに言えば、この人の器を信じよう、伝えようと思ったのでした。

そして、そうした色絵の器を使ううち、萬理さんの器を使うと、不思議と「元気になる」という「効用」に気付いたのです。

これは、すごいことです。

いま、わたしのギャラリーの吐き出しの窓に続いている小さなウッドデッキの棚に、萬理さんの作品「ニョロニョロくん」が飾ってあります。(ニョロニョロ君については、萬理さんサイトをご覧ください)そのユニークな姿、鮮やかな赤色、その作品を眺めているだけで、元気になるし、なんとも気分がいいのです。物言わぬ「作品」が人を包み、その作品があるだけでこころが豊かになる。

これって、ほんとうに「芸術」というものの本質ではないでしょうか。

カルロス君展で、萬理さんは絵を発表されます。その筆使い、そこから伝わってくるものを、どうか多くの皆さんに「感じて」いただけたらと願っています。

2008.11.30 shoken tomoo